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ミニ情報通信

令和元年度上期中部ブロック会議が開催されました。

去る6月7日(金)午後4時から、ホテルアソシア高山リゾート(岐阜県高山市)において、標記会議が開催されました。

当日は、まず最初に三澤中部ブロック長(中電ウイング株式会社専務取締役)から開会のあいさつがあり、1)中部ブロックの会員も増えて、直近では35社となった、2)昨年来、公務部門で約2,500人の障害者が雇用され、そのうち131人が既に離職したと伝えられているが、障害者にはできるだけ長く働いていただくことが重要、3)全重協の特徴は、全国の様々な業種の企業が集まり、その法人形態もオーナー企業や特例子会社等多岐に渡っているという多様性にある、4)今後も会員どうし知恵を出し合い、情報を共有して障害者の雇用を更に進めていきたい、5)また、そのために、会員の要望を積極的に国に伝えていきたいといった話がありました。

三澤ブロック長のあいさつの後は、栗原会長と中部ブロックの臼井理事からもあいさつがあり、まず、栗原会長からは、1)三澤ブロック長の話にもあったように、最近全重協の会員が増えているが、これも会員の皆様のご支援ご協力のお陰、2)厚生労働省からの受託事業も3年目を迎えたが、こうした事業の実施を全重協の発展につなげていきたい、3)昨年11月に、公務部門における障害者雇用問題の関係で、衆議院の厚生労働委員会に呼ばれたが、こうした場に呼ばれるのも全重協が社会的に認定された証、4)今年の4月にも衆議院の経済産業委員会に呼ばれたが、その際、最近のように最賃がどんどん引き上げられるのはいかがなものかということを申し上げた、5)最賃は、各都道府県の公労使が話し合って決めるべきもの。全国一律というのは適当ではないのではないか、6)障害者の高齢化が進む中で、最賃だけがどんどん上がっていくことも問題といった話がありました。


あいさつをする栗原会長

また、臼井理事からは、1)最近、障害者の雇用が非常にむずかしくなっている、2)精神障害者の薬がよくなっているために、雇用率にカウントできない精神障害者が増えている、3)中小企業は戦力となる障害者を確保できずに困っているといった話がありました。

これらのあいさつの後は、本部報告ということで、厚生労働省からの受託事業の実施状況や全国レベルの研究部会の立ち上げ、全重協の名称変更について説明があったほか、昨年度会員からの寄付が減ったことを踏まえて、会長名の文書による寄付のお願いもありました。

また、全国レベルの研究部会の立ち上げについては、地域毎に会員が集まるこれまでのブロック会議や都府県支部会議に加えて、今後は、A型や精神障害者、助成金といった特定のテーマ毎に全国の会員が集まる場を設けることを検討しており、その結果については、全重協のHP等を通じて会員に周知するという説明がありました。

さらに、全重協の名称変更については、「公益社団法人全国重度障害者雇用事業所協会」という全重協の正式名称から「重度」という言葉をとって「公益社団法人全国障害者雇用事業所協会」とし、「全重協」という略称も「全障協」とするということが去る3月の理事会で決まり、そのための定款変更が6月18日(火)の総会に提案されるという説明がありました。

このほか、厚生労働省からの受託事業については、名古屋相談コーナーの山中相談員からも説明があり、ブロック会議に参加した会員企業に対し、他の企業が事業所見学に来た際に相談員も同席させてもらって相談対応を行うことや相談コーナーが置かれている愛知県以外で出張による相談対応を行うこと等について協力依頼がありました。

これらの報告等の後は、会員企業から近況報告がありましたが、その中では、1)雇用されている障害者の高齢化が進む中で、福祉との連携が課題となっている、2)障害者のスキルと仕事のマッチングに苦労している、3)働く障害者の安全を確保するため、危険の見える化に取り組んでいる、4)仕事が増えても障害者を雇用できないので、派遣を入れている、5)新たな障害者の雇用は、自社で経営するA型を通じて行っている、6)障害者のストレスチェックを外部の機関に委託することを検討している、7)新たな障害者の雇用がむずかしくなっている中で、自社の障害者を他社に引き抜かれてしまった、8)自分が障害者であることを認めない発達障害者の対応に困っている、9)障害者をA型やB型と取り合うような状況の中で、職場実習を通じてやる気のある障害者を採用している、10)本社から出向してきて障害者を指導するスタッフの指導ということも課題となっている、11)障害者にいかに長く働いてもらうかが課題となっている、12)障害者の職場定着を促すために,リーダー職に登用するようにしたといった話がありました。

今回のブロック会議については以上ですが、当日は、会議に先立って、高山市内にある株式会社打江精機様を見学させていただきました。

同社は、昭和35年に設立された各種油圧機器の製造メーカーで、現在、知的障害者9名と身体障害者6名(うち聴覚障害者1名)を雇用しており、昨年6月1日現在の障害者の雇用率は5.39%となっています。

また、これらの障害者の年齢構成を見てみると、現在は60歳代が7人、50歳代が3人と比較的高齢の障害者が多く、勤続年数が46年になる障害者もいらっしゃるそうです。

同社で働く障害者は、組立や加工(研磨等)の仕事をされているそうですが、中には、60歳を過ぎても自分の技能はまだまだ不十分だとして更なる技能の向上に励んでおられる方もいらっしゃるそうです。

同社において、こうした障害者の長期雇用が可能となった背景には、仕事の支援は「所属部署」、生活全般の支援は「総務部署」というように、障害者支援の責任体制が明確化されているとともに、両者が密接に連携してチームで対応することにより、会社が自分を支援してくれるという安心感を障害者が持つことができるということや、仕事を任されることにより会社の中に自分の存在感を持つことができるということがあると思われます。

同社では、500人以上の従業員一人ひとりに専用の食堂の座席が確保されていますが(食堂の椅子に従業員一人ひとりの名前が書かれています)、こうしたところにも、従業員を大切にする同社の姿勢が現れていると思います。

今回のブロック会議における会員企業の近況報告にもありますように、雇用されている障害者の高齢化への対応ということが全重協の会員企業にとっても大変大きな課題となっていますが、こうした中で、以上のような打江精機様の取組は、会員企業の皆様にとっても大いに参考になるのではないでしょうか。


宿泊したホテルの前で